”向き合う”から”一緒に見てみる”

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みなさん、こんにちは。
いつもおやこ心理スクールをご利用いただき、ありがとうございます。
子育てにおいて子どもと向き合いましょうという言葉を耳にしたことがありますか?
子育て中は、当然のように「向き合う」ことを要求され、目の前の子どもの対応に追われます。

子育ては苦行?

「子育て」というのは、次から次へと対応に追われ、要求が増えたり、さらに様々なトラブルが起きたりと、気が抜けない時間が続く、まさに苦行です

疲れ果てた先に助けを求めるように育児本やネット情報を見ては、自分の育児を振り返り、ため息が出たりするものです。

そして慌ただしい一日の終わりに、子どもの寝顔を眺めながら、つい子どもに言い過ぎてしまった言葉や態度を反省したりします。

しっかり子育てしよう、子どもと向き合おうとすればするほど、親御さんたちの心はすり減っているのかもしれません。

子どもも一生懸命?

一方、子どもが体験する一日はどうでしょうか。

児童期(6歳~12歳)の子ども達は、大人(学校)から要求されることが増え、ハードルが徐々に上がっていきます

そして、子ども達は、今持っている知識を総動員して考え、学び、行動している訳ですから、毎日が必死なのだと思います。

そういった意味では、親も子もお互いに全力で「向き合っている」状態ですね。

今回は、少し視点を変え一緒に見てみるというスタンスをご紹介したいと思います。

発見という体験

私は日々の心理臨床の中で、幅広い年代の子ども達の悩みや心に寄り添い、彼らの心の叫びに耳を傾けています。

その子供たちが訴える言葉の中に誰も分かってくれない・・・誰も信じられない・・・というものがあります(☜ほぼ両親に対する気持ちです)。

そんな彼らの話をじっくりと聞いていく中で、こいつ分かるぞ!と思ってもらえる瞬間があります。

そして、そう判断した彼らは、目の色を変えたように、今まで我慢してきた想いや辛かった・苦しかった過去のエピソードを一つ一つ具体的に話してくれます。

中には、想いが言葉にならならずに、時間一杯、大粒の涙を流し続ける子もいます。

子ども達が語ってくれる内容やエピソードには、思いもよらない発想や想いが込められている事が多く、そこに新たな発見をしてワクワクすることもあります。

もしかしたら私たち大人は「普通・常識」やその後に起きる「大変さ」に気を取られてしまい、多くの発見や体験のチャンスを逃しているのかもしれません。

そして、子どもと「一緒に見てみる」というスタンスは、私達に新しい気づきをもたらしてくれるのかもしれません。

教えてくれる子ども達

子どもの発達において「安心・安全である」ということは心理学の視点からも重要であると言われています。

規則や社会的ルールを守ることも大切ですが、子どもが安心して自分の意志を伝え、否定されず、大切に扱われるという経験も重ねて欲しいところです。

「向き合う」ことで見落としてしまうことも「一緒に見てみる」ことで、子どもの発想や想いに大人が気づかされることも沢山あると思います。

当相談室に以前、足の痛みを訴えて疼痛の専門医に通っていたがなかなか治らないという少年が、松葉杖を使いながらカウンセリングに来談されたことがありました。

その際のカウンセリングの中で、私も彼と一緒に松葉杖を体験してみることにしました。

松葉杖を使って近所を散歩してみたら、体中が痛いし、すごく疲れるし、汗びっしょりになるしで、少し動くだけでもとても大変だということが分かりました。

一緒に体験したことで、様々な気づきがあり、こんなに大変な思いをしながら、彼が訴えたいことは何だろう?と考えるきっかけにもなりました。

何度か松葉杖での散歩を繰り返すうちに、彼はどんどん元気になって、足の痛みも治まり、今では元気に学校に通いながら、スポーツを楽しんでいるそうです。

床に寝転んで動かない子どもを前に困り果てた時は、一緒に寝転んでみると新しい発見があるかもしれません。

もしかすると、子どもが知って欲しいのは、床の心地よさかもしれないし、もう何もかも嫌で困っている感覚かもしれません。

あるいは、不登校のお子さんをお待ちの親御さんで対応に困り果てた時は、思い切って仕事を休み、一緒に家に引きこもってみると新たな発見があるかもしれません。

あえて子どもと同じ目線に立って一緒に見てみると新たな発見につながります。

困った時、行き詰った時こそ「一緒に見てみる」、そして子どもと一緒に困ってみても良いかもしれませんね。

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