2024年子どもの自殺者数過去最多

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皆さん、こんにちは。
いつもおやこ心理スクールをご利用いただき、ありがとうございます。

先日、厚生労働省が、警察庁の自殺統計を基にまとめた2024年の自殺者数(暫定値)を公表しました。

小中高生は527人(前年比14人増)で、統計を取り始めた1980年以降で過去最多となりました。

全体の自殺者数は2万268人(同1569人減)で、2番目に少なかったそうです。

児童生徒の内訳は、高校生349人(前年比2人増)、中学生163人(同10人増)、小学生15人(同2人増)で、いずれも前年を上回りました

高校生の数が全体の66%を占めており、そのうち女子52%、男子48%でした。

男女別では、男子が239人と前年より20人減った一方、女子は34人増の288人で、初めて女子が男子を上回りました

2022年を境に、全体的に男子は減少傾向にあるものの、女子は増加傾向にあります。

自殺に至る背景の変化

文部科学省でも、子ども達の自殺の背景が不明なことが多く、はっきりとした理由が把握できていないようで、今後も分析を続けたいと述べるにとどまっています。

自殺する直前まで、いつも通り学校に来ていたというケースも多く、子ども達が自殺に至る背景が、これまでの傾向と少し変わってきているのかもしれません。

そこで、子どもの心理の最前線にいる、おやこ心理相談室独自の見解を示させていただきたいと思います。

①人間関係の希薄化

最近の子ども達の人間関係を語るうえで、どうしても触れなければならないのはやはりSNSだと思います。

SNSが普及し、コミュニケーションが便利になっている一方で、子ども達とその人間関係へ及ぼす影響は計り知れないと思います。

オーストラリアでは、子供がSNSに触れる時間を制限する法律ができたくらい、SNSに対して危険を感じ始めている国も出てきています。

SNSでは、いくらでも自分をごまかしたり、取り繕ったり、アカウントを消すことで関係を安易にリセットすることができます。

そういう安易な関係に慣れてくると、リアルな人間関係が煩わしく思えてきて、本音で人と関わることが少なくなってきても不思議ありません。

そのうち、人間関係自体がよくわからなくなってきて、(むしろ自分自身がよくわからなくなっているのかもしれません)人との関係がどんどん希薄になっていきます。

学校には問題なく通っていた子が突然…というケースでも、実は本音で話せる友達はおらず、孤独からくる希死念慮を日常的に抱いていて、ある日突然何かのきっかけで一線を越えてしまったということも想像できます。

SNSを通じて人間関係を構築する機会が増えている一方で、実際の人間関係スキルが弱くなっていることは間違いないと思います。(大人も同様)

もちろん、SNSを通じてのいじめや嫌がらせなどの問題も増えてきています。
目に見えない陰湿ないじめは子ども達を簡単に追い詰めることができる一方で、罪悪感をも見えづらくしてしまうという一面もあり、エスカレートしていくことを止めることが難しいのかもしれません。

SNSとの付き合い方は、その危険を理解したうえで、子どもたちが(大人も)どう向き合っていくべきか、一度しっかりと考える必要があると思います。

②家族関係の希薄化

そもそも、子ども達は親に見放されることが一番怖いので、見放されないように親の言うことを守り、必死に頑張ります。

しかし、高校生くらいになって(早い子は小学生のうちから)、どんなに頑張っても親に自分のありのままを受け入れられてもらうことはないと気づくと、孤独感・無力感、将来に対する不安が子ども達を支配していきます。

「勉強しなさい!」「医者になりなさい!」などと自分の理想を押し付けてくる親は、子どもにとって、面倒ではありますがまだ良い方で、一番子どもを追い詰めるのは、その子に無関心な親です。

親が子どもに無関心であるという時点で、この家族は立派な機能不全家族です。

そして、子どもに無関心であることは、それだけで立派な児童虐待です。

そして、親が無関心なゆえに、子どもの問題を対処しようとも思わず放置されてしまい、気が付いたころにはすでに手遅れ…という場合も少なくありません。

無関心な親だけでなく、行き過ぎた過保護な親や、いわゆる毒親、親自身が幼くて人格に問題がある、夫婦の不仲、要介護の親、貧困など、様々な原因で家族が家族として機能せず、家族関係が希薄になっているケースが増えています

このようなケースでは、親も問題を抱えていて余裕がなく、子どもが子どもとして安心して成長できず、しわ寄せを受けて無理を強いられていることが多いです。

そんな状況を誰にも相談できずに、「消えてしまいたい」と一人で苦しんでいる子ども達が沢山いることが今回の統計から読み取れます。

子どもを守るための「つながり」を

親に関心を持ってもらえない、どうでもいいと思われる、ありのままを受け入れてもらえないことは、子どもたちにとっては絶望にも等しい孤独です。

その耐えられない孤独から逃げるために自ら死を選んだり、親に代わる依存対象物を求めて、やすやすと犯罪へと駆り立てられていきます。

人間の子どもは、ある意味で、とても儚く脆く、誰かの関心・愛情がないと簡単に死んでしまうのです。

しかし逆に言えば、誰かの関心や愛情があるだけで、生きていくことができるくらいの「強さ」もきちんと持ち合わせているのです。

統計には表れませんが、誰かのほんの少しの関心が日々どこかで子どもを救っていることも事実だと思います。

先日も不登校児童数が過去最多というコラムを上げましたが、これらの問題の根っこは同じだと思います。

様々な人とのつながりが希薄になっていることが問題となっている現代で、人の心を癒すことができるのもまた「人とのつながり」なのではないでしょうか。

大変複雑な問題ではありますが、子ども達の命を守るうえで、子どもたちの孤独を理解していくことが急務です。

はやりそこでも、「人とのつながり」が大切になってくるのだと思います。
皆さんも、自分のお子さんや近所のお子さんとの「つながり」を、是非振り返ってみて下さい。

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