大事にしてくれる相手から逃げたくなる心理

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みなさん、こんにちは。

いつもおやこ心理スクールをご利用いただきありがとうございます。

大人でも子どもでも、自分にとって都合が悪いことが起きると、いろいろな言い訳をして逃げるクセがついている人がいます。

自分を傷つける人や苦しめる人(こと)からの「逃げ」は必要で、自分を守る方法の一つですが、中には厄介な「逃げ」を身に付けてしまっている人がいます。

こういう人が逃げたくなるのは、自分のことを本当に大切にしてくれる人・本当に想ってくれる人に出会ったときなのです。

自分が大切にされているとか、自分を理解してくれているという体験をすると、そこ(その人)から逃げたくなってしまい、自分から関係を断ってしまいます。

この傾向は、早いケースでは小・中学生くらいから見られ、年齢が上がるにつれて強くなっていくように見えます。

都合の悪いことから逃げたくなるのは普通のことですが、こういう人は、都合が悪いというよりもむしろ、一般的に「いいこと」が起きた時に、逃げたくなるのです。

例えば、人に優しくされたとか、受け入れてもらったとか、自分を理解してもらった・肯定してもらったという体験です。

「親切にしてもらったのに怒る」なんて人がたまにいますが、そういうケースにもこの心理が働いています。

自分でも理由はよく分からないけど、優しくされたり親切にされると、その相手が怖くなってしまうのです。

そして逃げるときは、「自分が逃げたい」ことは受け入れられないので(プライドが高すぎるため)、「逃げたい」と言う代わりに、巧みに周囲をコントロールして、「私の意志じゃないけど、私にはこうする他なかった」と訴えてきます。

そうやって、本当に大切な人間関係から逃げていくので、残念ながらいつまでたっても自分を大切にできず、本当の意味で幸せにはなれません。

では、どうして大事にされると逃げたくなるのでしょうか?

その理由は大きく分けて3つ考えられます。

自尊感情が低い

これまでの人生で受け入れられた・大切にされたという経験がない、もしくはとても少ないので、「自分には大切にされる資格がない・雑に扱われる方が見合っている」と思っていて、自分を大切にできません。

多くの場合、その対象は親(母親)で、家庭内で育つべき自尊感情が育っていないということです。

これまでずっと虐げられたり不当に扱われてきたので、大事にされないこと(=他人(母親)のために生きていること)に存在意義を見出し安心を覚えていて、大事にされそうになると(=自分のために生きていくこと)一気に不安が襲ってくるのです。

優しくしてくれる人に出会うと、「私なんかに良くしてくれるなんて、きっと裏があるに違いない」と疑い、その人を試す行為を繰り返します。

その中で、相手が少しでも態度を変えたり面倒そうに振舞ったりすると、「ほらやっぱり!私は大事にされるべきじゃないんだ、私には存在価値がないんだ」と思い込んで、勝手にその関係を断っていきます

その結果、自分を無下に扱う人たちを無意識に選んでしまうので、自分が二の次でいられる関係ばかりを築いていきます。

恋愛では、不倫や浮気、デートDV、ダメンズコレクター、ホスト通いからの風俗など(本当に好きな人の一番になるのも怖い)を繰り返し、そのことを相談できる同性の友達もいません

そのままいくと心も体もボロボロになり、病院に入院するか、一歩道を間違うと犯罪に手を染めることにもなりかねません。

これでは、いつまでたっても健全な人間関係を築くことができず、自分のための人生なんて歩めません。

②精神的に幼く、自分と向き合うことが怖い

本当に相手のことを考え思ってくれる人は、必要なことを提言してくることもあるし、厳しいことを口にすることもあります。

そんなときは、自分に向き合うこと(=変化すること)がどうしようもなく怖く感じてしまいます

口では、「なんてことはない、できるに決まっている」とは言いますが、本当はできない自分を受け入れる勇気がありません。

できない自分と向き合うことも怖いし、できる自分へと変化することも怖いのです。

変化とはつまり、成長(自立)すること・大人になることです。

どんな年齢でも精神的に幼いままなので、大人になることが怖くて、自分と向き合えないのです。

大人になるのが怖いのはなぜかというと、大人が信じられないからです。

信用できる大人に出会ったことがないので、大人はみんなうそをつく・約束をやぶる・信用できないと思っていて、そんな大人になりたくないと思っているのです。

だから、自分のことを真剣に考えてくれる人・自分にとって必要なことをきちんと伝えてくれる人が近くにいると、必然的に自分が成長しなければならなくなってしまい、都合が悪いので逃げたくなるのです。

③信じる力が弱い

人を信じる力が極端に弱く、信じる力が疑う力に負けてしまいます

これもやはり、幼少期に基本的信頼感を獲得できておらず、親から無条件に信じてもらったという経験が少ないことが原因です。

信じることよりも疑うことの方に慣れているので、信じたり・信じられたりする健全な人間関係に不安を感じ、疑ったり・疑われたりする脆くて不健全な関係に安心を感じてしまいます

表面的には仲の良さそうな関係を取り繕い、親密な関係を装うことはできても、心の底では、相手を疑っていて、本当は信じることができないのです。

相手が「いつか離れていくのではないか…」といつも不安を抱いているので、お金やモノ、時間や体を提供したり、相手の言いなりになったり尽くすことで相手をつなぎとめようとします。

また、相手が自分のことを見放さないかと常に相手を試し、裏切られる事が怖いので、自分から先に相手を裏切ってしまうこともしばしばあります。

結果的に、長く安定した関係が築けないので、いつも心は寂しさでいっぱいです。

それでも、信じられる相手を探し求めて、次々と新しく知り合った人と親密になろうとしますが、一旦距離が近くなり、相手が自分を「大事にしてくれている・信じてくれている」と感じると途端に不安が襲ってきて、自ら関係を断って逃げてしまうのです。

誰かを頼る経験を

このように自分を大切にしてくれる相手から逃げてばかりいると、本当に自分にとって必要なことからも逃げることになり、その後の生き方に大きな影響を与えます。

自分の中に似たような傾向を見つけた方は、今からでも遅くはありませんので、まずは苦しい時、辛い時に、勇気を出して誰かを頼ってみる経験を積み重ねてみて下さい。

苦しくても逃げないでいられる自分を支えてくれる人が必ずいます。

その経験を通して、他人を信じる力、そして自分自身を信じる力が少しずつ身についてくると思います。

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