おやこフリースクールで見られる変化(中期~)
みなさん、こんにちは。
いつもおやこフリースクールをご利用いただきありがとうございます。
今回は、フリースクール利用から3か月くらいたつと起こりうる変化をご紹介します。(変化や成長には個人差があり、全ての子どもがそうだとは言い切れません。)
中期に入ってくると、ポジティブな変化だけでなくネガティブに見える変化も起きます。
どんな変化にも意味があるので、どちらの変化もご紹介します。
戸惑いが出てくる
この時期に見られる一番大きな変化としては、戸惑いが生まれてくることです。
これまで他人に自己を開示したことがほとんどなく、ここにきて初めて自分のことをこんなに深く人にしゃべったという子が多いので、「本当にこんなにしゃべって良かったのかな?」という戸惑いが生まれてきます。
いろいろな過去の出来事を語る中で、家族に対してこんなことを思っていたとか感じていたということを初めて人にしゃべったことで、「やっぱり話さなかった方が良かったのかな?」「普通の人はこんなこと人には話さないんじゃないだろうか?」「この人(スタッフ)を本当に信じていいのか?」という葛藤を抱え始めます。
これまでは「誰にも頼ってはいけない」・「弱音を吐いてはいけない」と思い、必死に抱えてきた感情を解放したので、当然起こるごく自然な反応なのですが、本人は初めて感じるこの反応に戸惑い始めます。
戸惑っている様子が見えるようになると、私たちスタッフは「それは自然なことだから大丈夫だよ」と伝えていきますが、やってはいけないことをやってしまったという罪悪感がどんどん大きくなってしまうこともあり、スクールに対して不満・不安や不信感を抱き始めるケースもあります。
これは、社会経験が少なく、「人を信じる」という経験がない場合によく起こる現象で、人を信じることに慣れていないとスクールがだんだん敵のように見えてきて、休みがちになってしまうこともあります。
ここで、イヤなことから「逃げる」ことに慣れているといろいろな言い訳をしてそのまま来なくなる可能性が高いので、当スクールでは「逃げる」ことではない他の対応策を一緒に考えていきます。
残念ながら続けられないケースもありますが、一度でも「人を信じた」という経験ができたことは、この先の人生において意味があることは間違いありません。
この先人を信じられるようになるためにも、どこかで乗り越えたいプロセスでもあるので、このチャンスに是非「人を信じること」を体感してほしいと思っています。
自発的な行動が増えてくる
ポジティブな変化としては、自分から「これをやりたい」という発言が増えてきます。
それに伴い、自分から動くことも増えてきて、積極的に準備をしたり、やりたいことを遂行するために努力することができるようになってきます。
これまでは指示されて動く、もしくは指示されても動けないことがほとんどだったので、自分から考えて動くとういのはとても大きな変化だと思います。
その先に、自分の力で考えて、自分にとって必要なこと・やらなければならないことを理解し、遂行できる力が見えてきます。
感情が表現できるようになる
また、感情表現にも大きな変化が見られるようになります。
基本的に感情の取り扱い方が分からないことがほとんどで、中には感情を押し殺しすぎて、無感情になっている子もいます。
スタッフとのたくさんの会話を通して、まず、うれしい・楽しい・喜びといったポジティブ感情が戻ってきます。
そして、それらを自由に表現してもいいんだ、と思えるようになります。
そこを通り過ぎると、怒り・悲しみ・さみしさなどのネガティブな感情にも触れられるようになり、それらを表現できるようになります。
家では大変な暴れん坊でも、本当はネガティブな感情は表現してはいけないと思い込んでいるので、スクールでこれができるようになったら立派です。
我々スタッフに対して「怒り」や不満・不信感を言葉で表せるようになったら、それはとても好ましい成長なのです。
どんなに怒りをぶつけても、相手が動じないことや相手が離れていかないことを体験することで「人を信じる力」が育っていき、この力がつくとスクールを休まずに続けられるようになります。
そうこうしているうちに、ネガティブな感情の取り扱い方も自然に身に付けていくことができるようになります。
迷いと葛藤が生まれる時期
少し慣れてくると、本人の中では大きな迷い・葛藤を抱えることが出てきます。
今までとは違う価値観や考え方が一気に入ってきて、戸惑いを覚えるのは当然のことです。
そもそも中学生や高校生の時期は思春期真っただ中で、どんなことに対しても悩み・葛藤する時期で、悩むことはとても自然なことです。
ご家族には、ポジティブな変化もネガティブな変化もご承知の上で、長いスパンで考えて、冷静に対応していただければと思います。