家族とは違う他人とのつながりを
学校に行けないことで、親が心配するのは学業を含む能力の発達のことだと思いますが、専門家から見ると、学校に行けないこと自体は、子どもの発達にとって特に大きな問題ではありません。しかし、学童期の子ども達が学校に行けないことで、得られないモノが一つだけあります。それは、「人とのつながり」です。
この時期は、「人とのつながり」、例えば、友達や先輩・後輩、先生などを通して、今までの自分や自分の家庭とは違う考え方や物の見方を知ったり、成長に伴う不安や葛藤を共有したり、人に頼ったり頼られたりしながら、自分らしさを追求していきます。
しかし、学校に行けない子ども達は、人とのつながりが持てないことで、家庭の価値観だけにしばられ続けたり、不安の共有ができずに一人で抱え込んだり、人に上手く頼ることができず一人で頑張り過ぎてしまいがちです。そして、その親御さんもまた同じように誰にも頼れず一人で頑張ってしまう傾向があります。そうしているうちに時間だけが過ぎてしまい、子どもも家族も孤立して、長く苦しむことになりかねません。
さらに、耐えがたい孤独感から解放されたくて、「つながり」を求めてネット社会の危険なドアを叩いたり、依存対象物に手を出してしまったり、将来的に様々な問題に巻き込まれてしまう可能性もあります。
それを防ぐためには、たった一人でいいので「家族とは違う他人とのつながり」を作ることが大切になってきます。
おやこ心理スクールでは、スタッフや他の利用者さんと、安全につながることができます。
そして、たくさんの会話を通して、他人の話に共感したり、自分を受け入れてもらったり、アドバイスをもらったり、新しい価値観を得たりすることで、他人と付き合うコツや、「自分らしさ」を見つけるヒントを得ることができます。同時に、自分を責める気持ち(自責感)を取り除き、「このままでもいい」「まあまあよくやってる」「そんなに悪くない」と思える自己肯定感を育てていきます。
「誰にも分かってもらえない、自分は一人だけだ」と思っていた世界が、人とつながることで広がりを持ち始めます。そして、一人だけだった世界が広がっていく中で、いよいよ前に進む準備が始まっていきます。